「毎日18単位…もう限界かもしれない。」あなたがそう感じてこの記事を開いたのなら、その違和感は“正しい”です。
休憩も取れず、カルテに追われ、重症者の介助で体はボロボロ。
それでも「みんな同じだから」「自分が弱いだけだ」と言い聞かせていませんか?
実は、18単位がきついのはあなたの能力ではなく、“構造的に無理のある働き方”だからです。
そしてその過酷さは、職場環境・患者構成・部署の文化によって大きく変わります。
ポイント
この記事では、現役PTのリアルと内部事情をもとに、18単位が過酷になる理由・こなせる人との決定的な違い・今すぐ取れる具体策・転職すべき環境の見極め方まで徹底的に解説します。
「この働き方を続けて大丈夫なのかな…?」と一度でも思ったことがあるなら、この先は必ずあなたの役に立ちます。
18単位の世界の“真実”を知ってください。
Contents
なぜ「リハビリ18単位はきつい」と感じるのか?5つの理由
「18単位は本当にきつい…」「毎日ヘトヘトで帰宅して寝るだけ」。
そう感じてこの記事にたどり着いたあなたは、すでに限界ギリギリの働き方をしている可能性があります。
実は、「18単位きつい」という声は新人だけでなく、5年目・10年目の中堅セラピストからも数多く上がっており、
“個人の体力問題”ではなく“構造的に無理のある働き方”であることが明らかになっています。
ここでは、現場で働く理学療法士の本音・内部事情をベースに、
「なぜ18単位がここまで過酷なのか?」を深掘りして解説します。
「これ、全部自分のことだ…」と感じるはずです。
休憩なしで360分動き続ける“体力的限界”
まず前提として、18単位=360分、つまり6時間ぶっ通しのリハです。
しかし、これは「座ってデスクワーク」ではありません。
実際には、
- 歩行介助で腰を痛める
- トランスで腕がパンパンになる
- 訓練室と病棟を行ったり来たりで万歩計が1万歩超え
など、18単位=6時間は、実質8〜10時間の肉体労働に匹敵します。
さらに、「単位間の休憩」はほぼ存在しません。
- 患者移乗
- 準備・後片付け
- 病棟からの呼び出し対応
これらすべてが“休憩時間を奪う要因”になっており、
18単位を続けるセラピストの多くは、昼休みにようやく座るという状態です。
18単位がきついのは、根性ではなく構造的に無理があるから。
評価・書類・カンファが単位外で積み重なる“実働過多”
18単位が過酷になる最大の理由は、「リハ時間以外の仕事が多すぎる」ことです。
例えば、1日の仕事を分解するとこうなります:
- 訓練時間:360分(18単位)
- カルテ入力:1人5〜10分×18人=90〜180分
- 評価・FIM・ADLチェック:随時
- 医師・看護・ケアマネとの連携
- カンファレンス・退院調整
- 用具手配・家屋調査
すべて合わせると、
360分+120分以上=実質8時間超えとなり、現実には残業なしでは成立しません。
つまり、18単位は「6時間働く」ではなく、“6時間リハしながら+2〜3時間の事務仕事をこなす”働き方です。
これでは疲弊しないほうが不自然です。
「単位ノルマが多いほど残業が増える理由はこちらで詳しく解説しています」
重症者・長下肢装具など“時間がかかるケース”の偏り
同じ18単位でも、患者の構成によって“きつさ”は大きく変わります。
特に負担が大きいのは、
- 脳卒中の重度麻痺
- 起立不能・座位不安定
- 長下肢装具での歩行介助
- 移乗に2人介助が必要なケース
これらの患者が多い日、現場ではこうなります:
「1単位20分のはずが、実質30〜40分かかる」
その理由は単純で、
- 移乗に時間がかかる
- 立ち上がり〜歩行の準備が長い
- 動作練習の安全確保に人と時間が必要
という構造的問題があるからです。
つまり、同じ“18単位”でも、患者構成によって一日の重労働度が2〜3倍に跳ね上がることがあります。
これが18単位の「運ゲー」構造であり、
新人ほど重症者を振られやすい職場では、「毎日が地獄」と感じるのも無理はありません。
新人・中堅で負担が違いすぎる“部署配置格差”
実は、「18単位がきつい」と感じる原因のひとつは、 “部署配置の差”にあります。
きつい部署の典型
- 脳血管回復期
- 急性期の整形外科病棟
- 障害者病棟
これらの部署は、
- 評価が多い
- 患者が重い
- 書類負担が大きい
ため、18単位の負荷が跳ね上がります。
比較的楽な部署
- 外来(整形)
- デイケア
- 維持期病棟
同じ18単位でも、こちらは
「まだ回せる」という実感になります。
つまり、同じ職場でも、新人で重い部署に入り続ければ“潰れるのは時間の問題”ということです。
職場のカルテ文化・指示系統が負荷を倍増させる
見落とされがちですが、「18単位がきつい」かどうかは、職場の文化に大きく左右されます。
負荷が倍増する職場の特徴
- カルテが異常に細かい
- 毎日の指示出しが多すぎる
- 師長・主任の指示が二転三転する
- 書類の締め切りがタイト
- 新人教育が丸投げ
特にカルテ文化は地獄で、「カルテ1人10分×18人=180分」が平然と発生します。
つまり、「リハ360分」+「カルテ180分」=実働540分(9時間)
これで「きついと感じるあなたが悪いわけではない」ことは明白です。
ここまで見てきたとおり、「18単位がきつい」のはあなたの体力や能力の問題ではなく、
- 制度の限界
- 職場の運用
- 患者構成
- 部署格差
- 文化的負担
といった“外的要因”の積み重ねです。
この記事を読んでいるあなたは、決して弱いわけではありません。
むしろ、「きつい」と感じられるほど真面目に向き合っている証拠です。
そもそも18単位はどれくらいハードなのか?業界標準と比較
「18単位ってそんなにきついの?」「他の職場はどれくらい?」
あなたがこの記事にたどり着いた理由は、今の負担が“普通”なのか、それとも“異常”なのかを確かめたいからだと思います。
結論から言えば、18単位は業界全体から見てもトップクラスのハードワークに分類されます。
ただし、部署・施設・患者構成によって負荷は大きく変わるため、表面的な“単位数”だけでは判断できません。
ここでは、急性期・回復期・外来・訪問といった現場ごとの基準を比較しつつ、
「18単位はブラックなのか?」を客観的に評価していきます。
「20分のリハビリ時間が足りないと感じる理由もあわせて知っておくと理解が深まります」
急性期・回復期・外来・訪問リハで単位数が違う理由
セラピスト業界では、部署によって「単位数の基準」がまったく異なります。
その根本理由は、患者層・疾患の重さ・評価の多さ・書類量・安全管理が違うからです。
急性期:単位数少なめ(8〜12単位が標準)
- 症状が不安定
- ベッドサイド対応が多い
- 1人の評価・モニタリングに時間がかかる
- 看護師・医師との連携が多い
→ 1人に時間がかかるため、18単位はほぼ不可能
回復期:単位数多め(16〜20単位が標準)
- 訓練室での集中的リハ
- ADL評価・FIM・家屋調査が多い
- 担当人数が多くなる
→ 回復期では18単位は“ギリ成立するが過酷”
外来:単位数は中程度(12〜16単位)
- 軽症整形が多い
- 回転率が高い
- 書類負担は相対的に少なめ
→ 18単位は患者構成次第で可能だが忙殺される
訪問リハ:1日4〜6件(=8〜12単位程度)
- 移動時間が必ずかかる
- 1件40〜60分が基本
→ 18単位は制度・構造上ほぼムリ
このように、部署ごとに「単位の重み」がまったく違うため、単純に“18単位”だけで比較できないのが現実です。
【比較表】各職場の平均単位数と負荷レベル
以下は、現役セラピスト・管理職へのヒアリングと業界実態からまとめた、
「単位数と負荷のリアル比較表」です。
| 職場 | 平均単位数 | 負荷レベル | 18単位の評価 |
|---|---|---|---|
| 急性期 | 8〜12単位 | ★★★(重い) | ほぼ不可能。身体が壊れる |
| 回復期 | 16〜20単位 | ★★★★(かなり重い) | 成立するが非常に過酷 |
| 外来整形 | 12〜16単位 | ★★(中程度) | 可能だが忙殺される |
| 訪問リハ | 8〜12単位(4〜6件) | ★★★(中〜重) | 18単位は制度的に無理 |
この表を見ると明らかなように、回復期以外での18単位は“異常値”です。
つまり、あなたが「18単位がつらい…」
と感じているなら、それは能力不足ではなく、普通の反応であり、むしろ自然です。
18単位は“ブラック”なのか?働き方基準から客観的に評価
最後に、18単位が“ブラック”なのかどうか、労働基準・医療機関の働き方改革の観点から評価してみます。
① 労働時間の観点から見ると?
18単位=360分=6時間のリハ。
ここに必ず以下が加わります:
- カルテ入力(90〜180分)
- 評価・書類作成
- カンファ・退院調整
- 患者対応・移動時間
→ 合計7.5〜9時間
これは事実上、ほぼ“定時で帰れない働き方”です。
② 職場の安全配慮義務の観点から見ると?
セラピストは腰痛・腱鞘炎などの労災リスクが高い専門職ですが、18単位を毎日こなす環境は、身体への負荷が過度です。
安全配慮義務の観点では、“過剰労働”と評価されてもおかしくない水準です。
③ 国が推進する「働き方改革」との整合性は?
医療従事者の働き方改革では、長時間労働の是正・適切な休憩取得・健康管理が求められています。
しかし、18単位の現場では、
- 休憩が取れない
- 連続稼働が多い
- 疲労による事故リスクが高い
という状況が常態化しており、改革の方向性と明らかに矛盾しています。
結論:18単位は“ブラック寄り”と言わざるを得ない
部署によって負荷は異なるものの、
総合的に評価すると、
「18単位は、セラピストの健康と安全にとって過度な負荷」
=“ブラック寄りの働き方”
と言わざるを得ません。
ここまで読んで、あなたの職場環境はどうでしたか?
もし、回復期以外で毎日18単位をこなしているなら、それはあなたの努力不足ではなく、職場の構造が異常な可能性が高いです。
18単位が“きつい人”と“こなせる人”の決定的な違い
同じ18単位でも、
「毎日しんどい…」と限界を迎える人と、「なんとか回せている」と感じる人がいます。
この差は、決して体力や経験年数だけではありません。
現場を深掘りすると、18単位を回せるかどうかは、
“セラピストとしての段取り・判断・効率”で9割決まることが分かります。
ここでは、他のサイトでは触れない「内部事情」と「臨床スキルの本質」から、
18単位を「きつい」と感じる人と「こなせる」人の違いを明確にします。
「単位ノルマが厳しくなる背景はこちらの記事でより具体的に解説しています」
治療プログラムの組み立て速度・判断力
18単位を回せる人がまず優れているのは、
治療プログラムをその場で組み立てる“判断の速さ”です。
きつい人は、
- 何をするか迷う
- 評価に時間がかかりすぎる
- 毎回ゼロから考えてしまう
逆にこなせる人は、
- 患者の状態を見た瞬間に「今日の20分」を決められる
- “改善しやすいポイント”を直感的に見極められる
- プログラムのテンプレートを自分の中に持っている
これは経験ではなく、「パターン認識」と「優先順位付け」のスキルです。
18単位を回すためには、
“考える時間”を最小にして“動ける時間”を最大にする必要があるため、判断の速さが決定的な差になります。
評価・カルテの効率化スキル
18単位で潰れる人の多くは、「カルテと評価で1日が終わる」という構造にハマっています。
きつい人の特徴
- カルテを丁寧に書きすぎる
- 評価が毎回フルセット
- 文章が長く、まとめるのが遅い
こなせる人の特徴
- カルテを“構造化”して短時間で書ける
- 必要最小限の評価だけを選択できる
- テンプレ・フォーマットを自分で作っている
特にカルテは、
「1人5分の差 × 18人=90分の差」
となり、1日の疲労感を大きく左右します。
効率化できる人は、
実質1〜2時間の“自由時間”を生み出せるため、同じ18単位でもストレスが桁違いに小さくなります。
患者コミュニケーション(説明時間を短縮)
18単位がきつい最大の原因のひとつが、「説明に時間を使いすぎる」ことです。
患者さんに丁寧に説明することは大切ですが、18単位では“説明のしすぎ”は命取りです。
きつい人
- 毎回同じ説明を長く話してしまう
- 話が脱線して時間が伸びる
- コミュニケーションが雑になり逆にクレーム化
こなせる人
- 1分以内に要点だけを伝えられる
- 説明を“シンプルな型”にしている
- 言葉より「動き」で理解してもらう割合が多い
説明時間を3分短縮できれば、18人で54分の時間節約になります。
これが積み重なると、18単位の“しんどさ”は劇的に変わります。
体力ではなく“段取り”で決まる理由
「18単位=体力勝負」と思われがちですが、実は現場の本音は「段取り勝負」です。
こなせる人は必ず、
- 患者の配置順を最適化
- 移動距離を最小化
- 道具の準備を前もって完了
- 空き時間にカルテを先に書く
など、「時間を奪われない仕組み」を作っています。
逆に段取りが悪いと、
- 患者の準備に5分
- 移動に5分
- カルテに10分
といった小さなロスが積み重なり、1日1〜2時間の消耗につながります。
18単位は、体力ではなく段取り力で決まる働き方です。
新人が18単位で潰れる3つの落とし穴
新人が18単位で疲弊してしまう根本原因は、「未熟だから」ではなく「構造上のミスマッチ」です。
① 評価と治療の“線引き”ができていない
新人はつい評価に時間をかけすぎるため、20分があっという間に消えます。
② カルテが丁寧すぎる(時間が倍かかる)
「正しく書かなければいけない」という思い込みで、1人10〜15分をかけてしまう。
③ 上級者用の部署に配置されてしまう
脳血管回復期や急性期でいきなり18単位を求められれば、新人が潰れるのは当然です。
つまり、
新人 × 18単位は、“教育として成立していない”働き方と言えます。
「18単位がきつい」と感じるのは、あなたが弱いからではありません。
こなせる人は、体力や才能ではなく、段取り・判断・効率化という“仕組み”を身につけているだけです。
18単位をこなしながら「消耗しないPT」が実践している働き方
同じ18単位でも、
- 毎日ヘトヘトで帰宅するPT
- 淡々とこなし、クオリティを落とさず帰れるPT
この差は“根性”や“体力”ではなく、働き方の設計(仕組み)があるかどうかで決まります。
特に、18単位は「1日のミス」が積み重なると雪だるま式に負荷が増える働き方。
逆にいえば、たった数個の“仕組み”を取り入れるだけで負担は大きく減ります。
ここでは、実際に消耗せずに働けているPTが実践している
「現場で即使える・効果が出る働き方」を、他のサイトではまず語られない実践レベルで紹介します。
「業務負担だけでなく、PTが割に合わないと感じやすい理由もまとめています」
午前中に負荷の高い患者をまとめる戦略
18単位を回せるPTほど、“午前の使い方”が圧倒的に上手いです。
なぜ午前なのか?
- 自分の体力が一番残っている
- 病棟スタッフの協力が得やすい
- 患者のADLが安定している
特に負荷が高い患者(長下肢装具・重度麻痺・転倒リスク高い方など)は、午後にすると疲労+時間押しでリスクと消耗が倍増します。
消耗しないPTがやっている配置例
- 9:00〜10:00:重症者(集中対応)
- 10:00〜11:00:ADL動作系(患者も元気)
- 11:00〜12:00:軽度整形・施術系
こうすることで、午後は 「調整しやすい軽めの患者」で埋めることができ、
18単位でも崩れずに1日を回せるようになります。
カルテを3分以内で書くためのテンプレ化
PTを消耗させる最大の要因がカルテ。実際には「3分以内で書けるかどうか」が勝負です。
消耗しないPTは、例外なくカルテをテンプレ化しています。
テンプレ化のポイント
- 文章ではなく「構造」で書く(結論→理由→実施内容)
- よく使う文言を事前にストック(ショートフレーズ化)
- PCのスニペット機能・IME辞書をフル活用
例えば、以下のテンプレを持っておくだけで、カルテ時間は半分以下になります。
【結論】歩行距離の改善あり。介助量も減少。 【理由】立位安定性向上し、支持基底が安定。 【実施】荷重練習→立位→歩行(LKAFO使用)
18単位をこなせるPTは、カルテで悩む時間=ゼロです。
患者教育を“ルーティン化”して時間を確保する方法
説明に毎回5分以上使ってしまうと、18単位は絶対に回りません。
そこで必要なのが、“教育のルーティン化”です。
ルーティン化のコツ
- 説明する内容を「3種類」だけに絞る
- 患者に合わせて話し方を変えない(一定の型を使う)
- 動画・図・パンフを使って“説明しなくていい環境”を作る
たったこれだけで、
説明時間が1人あたり3分短くなれば、18人で54分の削減になります。
消耗しないPTは、「丁寧に説明する」より「分かりやすく短く伝える」を優先しています。
治療内容の引き出しを増やすと時短できる理由
引き出しが少ないPTは、毎回「何をしよう…」と考える時間が発生します。
これは18単位では致命的。
引き出しが多いPTの特徴
- 対象像ごとに“型”を複数持っている
- 訓練の流れが自動化されている
- 介入の優先順位を瞬時に決められる
治療の引き出しが増えるほど、
判断のスピードが上がり、1単位の密度が自然に高まるため、18単位でもプレッシャーが激減します。
チーム連携で“自分の単位数”を調整するテクニック
18単位を淡々とこなすPTは、例外なくチーム連携がうまいです。
1日の単位数は、個人だけでなくチームで最適化することで、負荷の偏りをなくすことができます。
実際に使われているテクニック
- 重症者の配置をPT間で相談する
- 新人・中堅・上級者で役割を調整
- 急変・書類・家屋調査がある日は単位数を下げてもらう
- 午後に余裕のあるPTへ“1単位だけ渡す”戦略
これができるようになると、
「毎日18単位」→「負荷を調整できる18単位」
に変わり、精神的にも圧倒的にラクになります。
18単位は、単に「数が多い」だけではなく、
段取り・効率化・判断力・チーム連携によって、 同じ単位数でも負荷が大きく変わる働き方です。
消耗しないPTは、 体力勝負ではなく“仕組みで乗り切る”方法を選びます。
職場別|18単位が“楽になる”環境と“地獄になる”環境
同じ「18単位」でも、働く職場によって負荷がまったく違う。
これは多くのPTが経験的に知っていますが、明確な理由を言語化しているサイトはほとんどありません。
この記事では、急性期・回復期・外来・訪問それぞれの「負荷の構造」を徹底的に分解し、
18単位が“楽”にも“地獄”にもなる条件を整理します。
転職を考えているPTにとっては、職場選びの精度を高める“情報格差”の部分です。
ここを理解するだけで、働き方のストレスは大きく変わります。
「単位ノルマに限界を感じている方は、辞めたいと感じる理由と対策も知っておくと楽になります」
急性期:単位は取れるが“内容の濃さ”が負担に
急性期は、そもそも単位数を多く取るようには設計されていません。
急性期で18単位を回すのがきつい理由は、以下の構造にあります。
急性期の特徴
- ベッドサイド対応が多い
- モニタリング・バイタル確認が必須
- 重症患者が多く、介助負荷が高い
- 看護師・医師との連携が頻繁
つまり、急性期の1単位は、他の病棟より中身が濃すぎるのです。
急性期で18単位が“地獄化”する条件
- 連日ベッドサイドが続く
- 術後や不安定な患者が多い
- 評価・モニター調整に時間が取られる
反対に、急性期で18単位が“まだ回せる”環境は、
- 軽症整形が多い
- リハ室が確保されている
- 看護師のフォローが厚い
つまり急性期は、患者構成次第で「比較的ラク」→「過労死レベル」まで振れ幅が大きい部署です。
回復期:高負荷患者が多く1単位の重みが違う
回復期は、単位数が最も多く設定される病棟ですが、“量が多いのではなく質が重い”のが特徴です。
回復期が過酷になる理由
- 脳卒中など重症者が多い(歩行補助・二人介助)
- FIM・ADL評価・家屋調査など書類量が膨大
- 長下肢装具など準備だけで5〜10分かかる
- リハ室の移動・病棟呼び出しが多い
つまり回復期の18単位は、「実質20〜22単位分の負担」になることが多い。
反対に、回復期でラクに感じるのはこんな職場です:
- 軽度患者が多い(整形中心)
- カルテがシンプル・効率化されている
- チームで単位配分を調整できる
回復期は、患者構成が「ハード」か「ライト」かで18単位の地獄度が一気に変わる部署です。
外来:回転率が高くスピード勝負
外来は、急性期や回復期に比べて「身体的負荷」は軽いケースが多いですが、その代わりに“時間との戦い”になります。
外来のきつさの正体
- 患者が次々に来る(待たせられない)
- 治療内容を即決しないと時間切れ
- 説明・会計・受付連携が多く意外と忙しい
- 担当人数が極端に多いことがある
外来の18単位は、「肉体的きつさ<精神的きつさ」になりがち。
ただし、以下の条件ならかなりラクになります:
- 整形軽症が中心
- 1人あたりの治療時間が短め(10〜15分)
- カルテが少ない
スピード型のPT、判断の速いPTは外来で楽に働ける傾向があります。
訪問:移動時間で実質単位数が変わる
訪問リハは、18単位とはそもそも仕組みが違い、「1日4〜6件(8〜12単位相当)」が標準です。
訪問がきつくなる理由は、リハ内容というより“移動”にあります。
訪問の負荷ポイント
- 移動距離が長い → 時間が奪われる
- 天候・交通に左右される
- 家屋環境で介助レベルが跳ね上がる
- コミュニケーションの比重が大きい
移動が多い地域では、実働6時間+移動3時間=9時間労働になることも珍しくありません。
逆に訪問がラクになる条件は、
- 訪問先が近距離(自転車圏内)
- 1件60分のゆったりスケジュール
- 重介助が少ない地域
訪問は、最も「地域差」が大きい分野です。
どうしても18単位がきつい人が取るべき3つの選択肢【結論】
ここまで読み進めたあなたは、
「18単位がきついのは自分だけなのか?」「それとも働き方そのものが間違っているのか?」と悩んでいると思います。
結論から言うと、18単位が限界に感じるのは“普通”で、あなたの能力不足や努力不足ではありません。
そして、どうしてもつらい働き方を続ける必要はありません。
現場のPTが最終的に選ぶ選択肢は、ほぼ次の3つに集約されます。
- 院内で単位数を調整する
- 負荷の少ない職場へ転職する
- 自費リハ・パーソナルで働き方そのものを変える
それぞれ具体的に解説します。
院内で「単位調整」を交渉する
多くのPTが見落としているのが、「院内で単位数を下げられることがある」という事実です。
ただし、単純に「きついので減らしてください」と言うだけでは通りません。
管理職が納得しやすい“建前”と“理由”を伝える必要があります。
交渉が通りやすい理由例
- 担当患者の重症度が高い(1単位の負荷が重すぎる)
- 書類・評価・家屋調査が集中している
- 新人教育・委員会業務・病棟連携など「非単位業務」が多い
- ミスや事故を避けたい(患者安全)」という視点
管理者が重視しているのは、「単位が減る=売上が落ちる」ではなく「事故リスク」です。
そのため、
「患者安全を守るために、負荷調整が必要だと考えています」
この一言は非常に強い説得力を持ちます。
実際に行われている単位調整の例
- 18 → 16単位へ(書類多い日)
- 重症者が多い担当日は15単位に調整
- 午前だけリハ、午後は評価とカルテに集中
これだけでも、毎日の消耗が大幅に軽くなります。
まずは「変えられる部分」を院内で調整することが、最も低リスクかつ効果的な第一歩です。
負荷の少ない職場(訪問・外来・クリニック)に転職する
次に現実的なのは、「病棟を離れる」ことで負荷を激減させる選択です。
18単位がつらい最大要因は、
- 重症患者の多さ
- 書類負担の多さ
- 時間に追われる環境
これらは病棟特有の問題であり、職場を変えるだけで一気に改善されます。
負荷が少なく、続けやすい職場の例
- 外来整形:軽症中心で身体負担が小さい
- 訪問リハ:1件60分でゆったり、単位圧がない
- クリニック:マニュアル化されていて動きやすい
負荷が軽くなる具体的メリット
- カルテが少ない
- 高負荷の移乗が減る
- 患者とのコミュニケーションが落ち着いている
- 1日のスケジュール調整がしやすい
特に訪問リハは、
「病棟では消耗したけど、訪問に変えたら人生が変わった」
というPTが本当に多い分野です。
もしあなたが「18単位を続けられる気がしない…」と感じるなら、職場そのものを変えるのは非常に効果的な選択肢です。
自費リハ・パーソナル・フリーランスで働く道もある
そして最後の選択肢は、「保険外で働く」というキャリアチェンジです。
近年、PTが自費リハやパーソナルトレーナーとして働くケースが急増しており、以下の理由から“働き方の自由度が高い”と注目されています。
自費リハのメリット
- 時間配分を自分で決められる(60〜90分が当たり前)
- 書類・単位・回復期特有の業務がない
- 単価が高く、収入を上げやすい
- 利用者のモチベーションが高い
パーソナル・フリーランスPTの特徴
- 運動指導がメインで身体負担が少ない
- スケジュール自由・副業との両立も可
- 働いた分だけ収入に直結する
もちろん、すぐにこの道に進む必要はありませんが、「18単位の働き方と価値観が合わない」という人には最も向いている可能性があります。
こんな人に向いている
- 自分のペースで患者と向き合いたい
- 1人に深く関わる治療がしたい
- 病院の人間関係・書類文化に疲れた
病院以外にもPTの活躍の場は広がっており、「保険外に出たら、仕事のストレスがゼロになった」という声も少なくありません。
18単位がどうしてもきついのは、あなたの問題ではありません。
働き方・環境・制度の問題です。
だからこそ、
- 院内で負荷調整する
- 環境そのものを変える
- 働き方のフィールドを変える
という3つの選択肢を知っておくことが、あなたのキャリアを守る“最も大事な一歩”になります。
「役職に就いても給与が上がらない理由はこちらで詳しく解説しています」
まとめ
「リハビリ18単位がきつい」と感じるのは、決してあなたの努力不足ではありません。
制度・患者構成・職場文化・書類量・部署配置など、外的要因によって“過度な負荷”が生じているケースがほとんどです。
この記事では、18単位がつらくなる理由から、こなせる人との違い、そして最終的に取るべき選択肢まで整理しました。
重要なポイントを以下にまとめます。
- 18単位=360分の連続稼働で、体力・精神面ともに極限に近い働き方
- リハ以外に評価・カルテ・カンファ・書類が重なり、実働は8〜9時間に達することも
- 重症者・長下肢装具など「1単位が重い患者」が多い日は負荷が2〜3倍になる
- 部署配置(急性期・回復期・外来・訪問)で18単位のつらさは激変する
- 18単位をこなせるPTは、段取り・判断・効率化・コミュニケーションが圧倒的に上手い
- カルテのテンプレ化、午前中の重い患者の集約、教育ルーティン化で負荷は大幅に減る
- チーム連携で単位調整できる職場は“良い職場”の特徴
- どうしてもきつい人の3つの選択肢は「院内調整」「転職(外来・訪問)」「自費・フリーランス」
- 職場を変えるだけで、肉体的・精神的負担が半分以下になるケースも珍しくない
- 18単位が無理だと感じるのは普通であり、その感覚は正しい
18単位で毎日限界を感じているなら、あなたが「弱い」のではなく、
今の環境があなたに合っていないだけです。
働く場所・仕組み・働き方を変えれば、同じPTという仕事でも驚くほど楽になります。
あなたの健康・キャリア・人生を守るために、一歩踏み出しても大丈夫です。