「リハビリ20分って、正直足りなくない?」
この一言を、あなたは患者さんから、あるいは心の中で何度つぶやいてきたでしょうか。
時間が足りないのは分かっている。
それでも結果は求められる。
患者さんの期待と、制度の限界に挟まれながら、今日も20分のリハビリを終える――。
なぜ20分しかできないのか?
本当に回復は遅れるのか?
工夫すれば解決する問題なのか、それとも限界なのか?
この記事では、「リハビリ20分は足りない」と感じる本当の理由を、理学療法士の本音と臨床の現実から徹底的に掘り下げます。
もしあなたが今、「この働き方を、この先も続けていけるのだろうか」
と一瞬でも感じたことがあるなら、きっと続きを読まずにはいられません。
Contents
なぜ「リハビリ20分は足りない」と感じる人がこんなに多いのか?
「リハビリって、こんなに短かったっけ?」
患者さんだけでなく、現場で働く理学療法士自身も、20分という枠に違和感を覚えたことがあるはずです。
実は「リハビリ20分は足りない」と感じる背景には、
患者側の不満だけでなく、理学療法士が感じている“仕事としての限界”や“やりきれなさ”が強く影響しています。
ここでは、患者の本音 × 理学療法士の葛藤という両視点から、その理由を整理します。
「時間が足りない背景にある単位のきつさについてはこちらで詳しく解説しています」
実際に多い患者さんのリアルな不満・口コミ
現場や口コミ、SNSなどでよく見かけるのが、次のような声です。
「準備だけで終わる」
- ベッドへの移乗
- バイタル測定
- 痛みや体調の確認
これらはすべて大切なプロセスですが、患者さんからすると「リハビリ前の作業」にしか見えないことも少なくありません。
結果として「気づいたら残り10分もない」「今日は何をしたのか分からない」といった不満につながります。
「説明だけで終わる」
理学療法士としては、
- 病態の説明
- 自主トレ指導
- 生活上の注意点
を丁寧に伝えているつもりでも、患者さんは「動いていない=リハビリしていない」と感じやすいのが現実です。
この認識のズレが、「20分もあったのに、ほとんど説明だけだった」という不満を生みます。
「運動量が圧倒的に足りない」
特に回復意欲の高い患者さんほど、
- もっと動きたい
- 汗をかきたい
- 筋肉を使った実感が欲しい
と考えています。
しかし20分という制限の中では、安全管理・記録・次患者対応を考えると、どうしても運動量は制限されがちです。
回復期・外来・訪問リハで“物足りなさ”の感じ方が違う理由
「20分が足りない」と感じる度合いは、リハビリの場面によって大きく異なります。
回復期リハ病棟の場合
- 本数は多いが1単位が短い
- スケジュールが詰め込まれている
患者さんは「流れ作業感」「毎回同じ内容」を感じやすく、質より量への不満が出やすいです。
外来リハの場合
外来では特に、
- 来院・待ち時間が長い
- 実施時間が体感的に短い
ため、「これだけのために来たの?」というコスパ感覚の不満が生まれやすくなります。
訪問リハの場合
一方、訪問リハでは20分が比較的短く感じにくい傾向があります。
- 移動・環境調整込みで“生活に密着”している
- 会話・指導も価値として受け取られやすい
つまり、同じ20分でも「密度」と「納得感」で評価は大きく変わるのです。
患者と理学療法士で「20分」に対する認識がズレている問題
このテーマで最も重要なのが、患者と理学療法士の“20分の定義”が違うことです。
患者が思う「20分」
- 実際に体を動かしている時間
- 成果を実感できる時間
- 「やった感」がある時間
= 実質的な運動時間が20分という感覚になりやすいです。
理学療法士が思う「20分」
- バイタル確認
- 状態評価
- 説明・指導
- 記録・次の準備
= 医療として必要なすべてを含めた20分という考え方になります。
このズレがある限り、どれだけ真剣に向き合っても「足りない」「物足りない」と言われてしまうのです。
理学療法士が密かに感じている「20分の限界」
あまり語られませんが、理学療法士自身も20分に限界を感じています。
- 本当はもっと評価したい
- 本当は段階的に負荷を上げたい
- 本当は患者の不安をじっくり聞きたい
しかし現実は、
- 単位ノルマ
- 記録業務
- 次患者の時間厳守
に追われ、「最低限をこなすリハビリ」になってしまうことも少なくありません。
その結果、「この働き方、ずっと続けていけるのかな…」と、転職を考え始める理学療法士が増えているのです。
「リハビリ20分 足りない」と検索する本当の理由
このキーワードで検索する人の本音は、実はこうです。
- 患者:
- 本当にこのリハビリで良くなるの?
- もっとやれる方法はないの?
- 理学療法士:
- この短時間で結果を出すのは無理では?
- 自分の技術や努力が評価されていない気がする
つまり、「20分」という制度そのものへの疑問が、検索行動の正体です。
理学療法士として、この違和感をどう受け止めるか
もしあなたが今、
- リハビリ20分にやりがいを感じられない
- 患者の不満と制度の板挟みがつらい
- もっと納得できる働き方をしたい
と感じているなら、それは甘えでも能力不足でもありません。むしろ、現場を真剣に考えている証拠です。
この違和感を放置するのか、次のキャリアを考えるきっかけにするのかで、数年後の働き方は大きく変わります。
リハビリ20分で「できること」と「できないこと」の現実
「リハビリ20分では正直足りない」
この言葉は、患者さんだけでなく現場で働く理学療法士自身の本音でもあります。
一方で、制度上・診療報酬上は「20分=1単位」が基本となり、多くの現場ではこの枠の中で成果を求められます。
ここでは感情論ではなく、臨床の現実として20分でできること・できないことを整理しながら、
なぜこの時間設定に限界を感じる理学療法士が多いのかを深掘りします。
「単位ノルマの構造についてはこちらの記事で詳しく解説しています」
20分で本当に改善が期待できるケース
すべての症例で「20分は意味がない」わけではありません。条件が合えば、20分でも十分に効果が期待できるケースは確かに存在します。
急性期
急性期では、
- 廃用予防
- 早期離床
- 合併症予防
が主目的となります。
このフェーズでは「量よりタイミング」が重要であり、20分でも適切な介入ができれば十分な価値があります。
むしろ長時間の介入がリスクになる場合もあり、「短時間・高頻度」の20分は理にかなっています。
軽症整形
捻挫、軽度の腰痛、肩関節周囲炎の初期などでは、
- 評価
- セルフエクササイズ指導
- 動作修正
を中心に行えば、20分でも十分な改善が見込めます。
この場合、主役は患者自身であり、理学療法士は「方向性を示す役割」に徹します。
術後初期
術後早期は、
- 疼痛管理
- 可動域の初期回復
- 基本動作の再獲得
が中心です。
この段階では過負荷は不要であり、20分でも適切な内容であれば十分意味があります。
「今はこれでいい」と割り切れるフェーズと言えるでしょう。
20分では“正直足りない”ケース
一方で、理学療法士が強いジレンマを感じやすいのが、以下のケースです。
脳卒中後
脳卒中後の患者では、
- 運動学習
- 反復練習
- 課題指向型アプローチ
が不可欠です。
正直なところ、20分では「導入」で終わることも多く、
「これで本当に回復を促せているのか?」と疑問を抱く理学療法士は少なくありません。
重度整形
複合的な障害を抱える重度整形では、
- 評価だけで時間が終わる
- ポジショニングで精一杯
という状況も珍しくありません。
患者さんの満足度も上がりにくく、「何もできなかった感覚」が理学療法士のストレスになります。
慢性疼痛
慢性疼痛では、
- 身体面の評価
- 心理社会的要因の把握
- 説明と納得形成
が重要になります。
しかし20分では、どうしても表面的な対応になりやすく、
「また同じことを繰り返しているだけでは?」という無力感につながります。
廃用症候群
廃用が進んだ患者では、
- 筋力低下
- 耐久性低下
- 意欲低下
が重なります。
本来は時間をかけて関わるべき症例にもかかわらず、20分では運動量も関係構築も不十分になりがちです。
「内容が濃い20分」と「薄い20分」の決定的な違い
同じ20分でも、「満足度が高いリハビリ」と「物足りないリハビリ」が存在します。
その差を生む最大の要因は、理学療法士側の余裕です。
内容が薄くなりやすい20分
- 評価・説明・運動をすべて詰め込もうとする
- 時間に追われて記録を意識している
- 単位ノルマをこなす意識が強い
この状態では、どうしても「消化試合の20分」になりやすくなります。
内容が濃く感じられる20分
- 目的が明確に1つ決まっている
- 患者に「今日はこれをやった」と伝えられる
- 次につながる課題を共有できている
運動量が多くなくても、納得感があれば20分は「短く感じない」のです。
それでも理学療法士が感じる“限界”
ここで重要なのは、努力しても超えられない限界があるという事実です。
どれだけ工夫しても、
- もっと時間をかけたい症例
- 本来は複数単位が必要な患者
は確実に存在します。
このギャップに悩み、
「この働き方を一生続けるのはきつい」
と感じて転職を考え始める理学療法士は、決して少数派ではありません。
「リハビリ20分は足りない」と感じる背景には、患者の不満だけでなく、
現場で本気で向き合ってきた理学療法士の葛藤が隠れています。
リハビリ20分が足りないと“回復が遅れる”は本当か?
「リハビリが20分しかないから、回復が遅れているのでは?」
これは患者さんからも、そして理学療法士自身からも頻繁に聞かれる疑問です。
現場で働いていると、
「もっと時間をかけられたら、確実に良くなるのに…」
と感じた経験は一度や二度ではないはずです。
ここでは感覚論ではなく、運動学習・神経科学・エビデンスの視点から、
「リハビリ20分は足りない」と感じる正体を整理し、なぜ理学療法士ほどこの疑問に苦しむのかを深掘りします。
「時間が足りずに残業が増える背景はこちらの記事で詳しく解説しています」
運動学習・神経回路の観点から見た“必要運動量”
運動機能の回復、とくに中枢神経疾患や高度な動作再学習では、
「どれだけ正しい運動を、どれだけ反復したか」が回復を左右します。
運動学習の基本原則として、
- 反復回数が多いほど学習は定着しやすい
- 間違った動作の反復は逆効果になる
- 課題特異性が重要
といった点は、理学療法士であれば誰もが理解しているはずです。
問題は、20分という時間では「質」と「量」を同時に満たすのが極めて難しいことです。
たとえば脳卒中後の歩行練習。
評価・準備・休憩を含めると、実際に反復できる歩行回数は限られます。
結果として、
「今日は感覚入力までで終わった」
「課題設定だけで時間が切れた」
という日が積み重なり、
理学療法士ほど「これで本当に神経回路は変わっているのか?」という疑念を抱くのです。
エビデンスで見る「リハビリ時間と回復スピード」の関係
研究レベルでは、リハビリ時間と回復の関係について、次のような傾向が示されています。
- 総練習量が多いほど機能回復は大きい傾向
- 特に脳卒中後では「集中的リハビリ」が有効
- 単位時間あたりの質も重要だが、量を無視できない
つまり、エビデンス的にも
「20分だけで十分」とは言い切れない症例が多いのが現実です。
ただし、ここで重要なのは、
「20分=必ず回復が遅れる」という単純な話ではないという点です。
エビデンスが示しているのは、
- 20分しか“介入できない”ことが問題
- 20分以外の時間が活用されていないことが問題
という構造的な課題です。
だからこそ現場では、
「自主トレ」「生活動作への落とし込み」が強調されますが、
それを前提にしなければ回らない制度自体に、理学療法士は違和感を覚えやすいのです。
20分リハを“最大効果”に変える人と変えられない人の差
同じ20分リハでも、
- 回復が進む患者
- なかなか変化が出ない患者
がはっきり分かれるのも事実です。
20分を最大効果に変えやすいケース
- 理解力・自己管理能力が高い
- 自主練習を継続できる
- 生活場面での実践量が多い
このタイプの患者では、
20分は「スイッチを入れる時間」として機能します。
20分では効果が出にくいケース
- 認知機能・理解力に課題がある
- 痛みや恐怖心が強い
- 生活環境に制限が多い
こうした患者ほど、本来は
- 時間をかけた説明
- 段階的な練習
- 関係構築
が必要です。
しかし20分ではそこまで踏み込めず、
「結局また同じ説明を繰り返す」という悪循環に陥ります。
理学療法士が感じる“努力では埋まらない差”
ここで多くの理学療法士が直面するのが、
「自分の工夫やスキルだけではどうにもならない」
という現実です。
どれだけ勉強しても、どれだけ準備しても、時間という制約そのものは変えられません。
その結果、
- 回復が遅れているのは自分のせいでは?
- もっと良い関わり方があるのでは?
と、真面目な理学療法士ほど自分を責めてしまうのです。
「リハビリ20分は足りない」と感じる背景には、
単なる時間不足ではなく、
- 患者に対して誠実でありたい
- でも制度に縛られている
- この働き方に将来性を感じられない
という、現場で本気で向き合ってきた人ほど抱える葛藤があります。
【比較】20分リハ vs 40分リハ vs 60分リハ|何がどう変わる?
「リハビリ20分は足りない」そう感じたとき、多くの理学療法士はこう考えます。
「時間が倍になれば、もっと良くなるのでは?」
しかし現場を経験しているほど、単純に時間を延ばせば解決する話ではないことも分かっているはずです。
ここでは20分・40分・60分リハの“現実的な違い”を、運動量・質・リスクの観点から冷静に比較します。
これは患者向けの記事ではなく、
日々「時間が足りない」と葛藤している理学療法士だからこそ刺さる内容です。
「20分リハが辛すぎて限界を感じている方は、一度こちらも読んでみてください」
運動量・疲労・回復スピードの違い
まず最も分かりやすいのが「運動量」です。
20分リハ
- 実質運動時間は10〜15分程度
- 評価・説明で終わる日も多い
- 刺激は入るが「変化を積み上げる」には不足
20分リハは、回復の「きっかけ」を作る時間です。
急性期・術後初期・軽症例では成立しますが、
回復期以降では量の不足を理学療法士が痛感しやすいのが実情です。
40分リハ
- 評価+反復練習が両立しやすい
- 運動量と休憩のバランスが取りやすい
- 患者の「やった感」が出やすい
40分になると、初めて「積み上げ型のリハビリ」が可能になります。
多くの理学療法士が「本当はこのくらい欲しい」と感じるラインです。
60分リハ
- 課題設定から修正まで一連で対応可能
- 反復回数を十分に確保できる
- 疲労管理が難しくなる
60分では運動量は大きく増えますが、
「回復スピード=時間比例」ではなくなる点に注意が必要です。
リハビリの「質」は時間でどこまで変わるのか?
「時間が長い=質が高い」
これは半分正解で、半分間違いです。
時間が短いと質が下がりやすい理由
- 評価が浅くなる
- その場しのぎの運動になりやすい
- 次につながる説明が省略される
20分リハでは、どれだけ優秀な理学療法士でも
「本来やるべき質」に届かないケースが出てきます。
時間が増えることで上がる「本当の質」
- 課題の再設定ができる
- エラー修正の時間が取れる
- 患者の反応を見ながら調整できる
40分以上になると、
理学療法士の思考プロセスそのものがリハビリに反映されるようになります。
だからこそ多くの理学療法士が、
「20分では仕事を“やらされている感覚”になる」
と感じるのです。
長時間リハが逆に逆効果になるケース
一方で、「長ければ長いほど良い」という考え方も危険です。
長時間リハが逆効果になりやすい例
- 高齢者で回復力が低い
- 疼痛や恐怖心が強い
- 集中力・認知機能が低下している
60分リハでは、
- 後半は惰性の運動になる
- フォームが崩れる
- 疲労だけが残る
といった事態も起こります。
その結果、
「たくさんやったのに、次の日動けない」
「リハビリがつらいものとして記憶される」
という本末転倒な結果になることもあります。
理学療法士が一番苦しむ“中途半端な時間設定”
現場で一番ストレスになるのは、実はこの状態です。
- 20分では足りない
- 40分や60分は制度的に無理
- 責任だけは求められる
この板挟みの中で、
「自分のリハビリは本当に意味があるのか?」
と悩み、
転職を考え始める理学療法士は非常に多いのが現実です。
「リハビリ20分は足りない」と感じる背景には、
- 患者を良くしたいという思い
- 時間的制約への無力感
- この働き方を続ける将来への不安
が重なっています。
理学療法士の本音|なぜ20分しかできないのか?【内部事情】
「リハビリ20分は足りない」
このワードの裏には、患者さんの不満だけでなく、理学療法士自身の“言えない本音”が隠れています。
現場で働く理学療法士の多くは、
「本当はもっと関わりたい」「これだけでは不十分だ」
と感じながら、20分という枠の中で働いています。
ここでは、リハビリ職側の内部事情を赤裸々に整理し、
なぜ「20分しかできない構造」になっているのか、そしてその中で明暗が分かれる理由を解説します。
「そもそもリハビリの単位制度自体に疑問がある方はこちらも参考になります」
リハビリ職が「もっとやりたい」と思ってもできない理由
まず前提として、多くの理学療法士はやる気がないわけでも、能力が低いわけでもありません。
それでも20分以上関われないのには、明確な理由があります。
① 診療報酬・単位制度という“絶対ルール”
医療・介護保険下のリハビリでは、20分=1単位という仕組みが前提です。
- 単位数が売上になる
- 施設は単位確保を最優先する
- 個人の裁量で時間を延ばせない
つまり理学療法士がどれだけ「もっとやりたい」と思っても、
制度的に“やってはいけない”構造になっています。
② 単位ノルマとスケジュールの圧迫
多くの現場では、
- 1日18〜21単位
- 分刻みのスケジュール
- 記録・書類は業務外
という環境が当たり前です。
この状況で20分を超えてしまうと、
次の患者、同僚、チーム全体に影響が出るため、理学療法士自身がブレーキをかけざるを得ません。
③ 「質」より「回転率」を求められる現実
悲しいですが、多くの職場では、
「どれだけ良くしたか」より「どれだけ単位を取ったか」
が評価基準になっています。
この環境では、
時間をかける=評価が下がるという歪んだ構造が生まれ、真面目な理学療法士ほど葛藤します。
20分でも“結果を出すセラピスト”の共通点
同じ20分でも、
- 「この人のリハビリは違う」
- 「短いのに満足感がある」
と言われる理学療法士がいるのも事実です。
① 目的を「1つ」に絞り切っている
結果を出すセラピストは、20分で
- あれもこれもやらない
- 評価・運動・説明を欲張らない
「今日はこれだけ」を明確にしています。
これにより患者も、「何をやったか」「何が変わったか」を実感しやすくなります。
② 20分を“点”ではなく“線”で考えている
優秀なセラピストほど、
- 次回につながる課題設定
- 生活場面への落とし込み
- 自主トレとの連動
を前提に20分を設計しています。
20分を「単発の治療」ではなく「プロセスの一部」として扱えるかどうかが、大きな差になります。
③ 説明力・言語化能力が高い
時間が短いほど重要になるのが、
「なぜこれをやるのか」
「何を目指しているのか」
を分かりやすく伝える力です。
これができると、運動量が少なくても、患者の納得感は大きく変わります。
逆に「20分を無駄にするセラピスト」の特徴
厳しい話ですが、同じ20分でも“明らかに差が出る”のも事実です。
① 毎回内容がなんとなく同じ
- とりあえず同じ運動
- 前回の振り返りがない
- ゴールが曖昧
これでは20分は、「作業時間」になってしまいます。
② 時間配分が下手
- 説明が長すぎる
- 逆に説明不足
- 運動が中途半端
時間管理ができないと、患者にも「短い」「物足りない」という印象しか残りません。
③ 「どうせ20分だから」と諦めている
最も危険なのが、この思考です。
「20分じゃ無理」
「制度が悪いから仕方ない」
もちろん制度に問題はあります。
しかしこの思考に陥ると、成長も評価も止まります。
それでも限界を感じる理学療法士へ
ここまで読んで、
- 自分はちゃんとやっているのに苦しい
- 工夫しても限界を感じる
- この働き方を続ける将来が見えない
と感じたなら、それはあなたが真剣だからです。
「リハビリ20分は足りない」と感じる背景には、
患者を良くしたいという思いと、制度の壁に挟まれた理学療法士の葛藤があります。
リハビリ20分に関するよくある誤解とその真実【FAQ】
「リハビリ20分は足りない」と感じる人の多くは、
“本当はどうなのか?”を誰かにハッキリ答えてほしいと思っています。
現場で働く理学療法士にとっても、これらの質問は
患者さんから何度も聞かれ、そのたびに言葉を選びながら答えてきたテーマではないでしょうか。
ここでは、臨床のリアル×理学療法士の本音という視点で、誤解と真実に分けて解説します。
毎日20分やれば十分?
結論:条件次第では「十分な場合」もあるが、万能ではない。
この質問は非常に多く、患者さんの期待値も高いテーマです。
確かに、
- 軽症例
- 急性期・術後初期
- 自主練習がしっかりできている
といった条件がそろえば、毎日20分の介入は十分な意味を持ちます。
しかし問題は、
「毎日20分=それだけで回復する」という誤解が広まりやすい点です。
理学療法士の立場から見ると、
20分はあくまでスイッチを入れる時間であり、回復を進める主戦場は
- 自主トレ
- 生活動作
- 日常の反復
にあります。
毎日20分やっていても、
それ以外の時間が変わらなければ、「足りない」と感じるのは当然です。
週1回20分でも意味はある?
結論:「ゼロではない」が、期待値を上げすぎると危険。
外来や訪問リハでよくあるこのケース。
理学療法士としては、正直なところ
「これだけで変えるのはかなり厳しい」
と感じることが多いはずです。
週1回20分で意味が出やすいのは、
- 評価・方向性の提示
- セルフケアの修正
- 悪化の予防
といった“管理・調整”の役割に限られます。
一方で、
- 機能回復を大きく進めたい
- 動作を作り直したい
といった目的の場合、
週1回20分だけでは足りないのが現実です。
このギャップを説明し続けることに、疲れてしまう理学療法士も少なくありません。
高齢者は20分でちょうどいい?
結論:「年齢」ではなく「体力・集中力・目的」で決まる。
「高齢者だから20分で十分」
これは現場で根強い誤解のひとつです。
確かに、
- 疲れやすい
- 集中力が続かない
といった理由で、20分が適切な場合もあります。
しかし実際には、
- 体力がある高齢者
- 意欲が高い高齢者
では、20分では「物足りない」「動き足りない」と感じるケースも多いです。
重要なのは、時間を短くすることではなく、疲労をコントロールすること。
分割・休憩・内容調整ができれば、40分以上でも問題ない高齢者は珍しくありません。
「高齢者=20分で十分」と決めつけられることに、違和感を覚えている理学療法士は多いはずです。
痛みが強い日は休んだ方がいい?
結論:完全に休むべき日もあるが、「何もしない」が最善とは限らない。
痛みが強い日に、
「今日はリハビリやめましょう」
と言うかどうか。
これは理学療法士にとって、常に判断が難しい場面です。
確かに、
- 炎症が強い
- 疼痛が急激に悪化している
場合は、負荷をかけない判断が必要です。
しかし多くのケースでは、
- 負荷調整
- 内容変更
- 痛みの説明と安心感の提供
といった「関わり方を変える20分」が有効です。
それでも患者さんからは、
「今日は何もしていない」「20分無駄だった」
と思われてしまうことがあり、この評価のズレが、理学療法士の消耗につながります。
FAQの裏にある「理学療法士の本当の悩み」
これらの質問に共通しているのは、
- 20分に答えを求めすぎている
- 制度の限界が個人の責任にされている
という構造です。
「リハビリ20分は足りない」と検索されるたびに、理学療法士は
「自分のやり方が悪いのでは?」
と悩みがちですが、
それは個人の問題ではなく、仕組みの問題であることがほとんどです。
「時間・給料・負担のバランスに悩む方はこちらの記事も参考になります」
まとめ|「リハビリ20分 足りない」と感じる本当の理由
「リハビリ20分は足りない」と感じるのは、患者さんだけでなく、現場で働く理学療法士にとってもごく自然な感覚です。
この記事全体を通して見えてきたのは、
20分という時間そのものが悪いのではなく、「役割」と「限界」を正しく理解されていないことが、多くの不満や葛藤を生んでいるという事実でした。
最後に、重要なポイントを整理します。
- 20分リハは「回復のきっかけ」を作る時間
本格的な回復をすべて担う時間ではなく、スイッチを入れる役割が中心。 - 症例によって20分で足りる場合と、明らかに足りない場合がある
急性期・軽症・術後初期では成立しやすいが、脳卒中後・慢性疼痛・廃用では不足しやすい。 - 時間が長ければ必ず良いわけではない
40分・60分で質は上がりやすいが、疲労や集中力低下で逆効果になるケースもある。 - 「内容が濃い20分」と「薄い20分」は明確に違う
目的設定・説明力・次につながる設計ができるかで満足度は大きく変わる。 - 理学療法士が20分以上できないのは「やる気不足」ではない
単位制度・ノルマ・評価基準など、構造的に制限されている。 - FAQに出てくる疑問の多くは「個人の問題」ではない
毎日20分・週1回20分・高齢者・痛みがある日など、条件次第で意味は変わる。 - 真面目な理学療法士ほど「足りなさ」に苦しみやすい
患者を良くしたい思いと、制度の限界のギャップが大きい。 - 20分に限界を感じることは、キャリアを考えるサインでもある
工夫しても埋まらない違和感は、働き方そのものを見直すきっかけになる。
「リハビリ20分は足りない」と感じるあなたの違和感は、決して間違いではありません。
それは現場を真剣に考えてきた証拠です。
この限界をどう受け止め、どう向き合うか。
そこから先に、今より納得できる働き方やキャリアの選択肢が見えてきます。